三条市 産婦人科 茅原クリニック 「安らかな良いお産と女性のためのプライマリーケア…皆様のご要望に応じられるように今後とも創意工夫・努力精進を、重ねてまいります。」
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 トップページ > 当クリニックの分娩の基本方針
 
 
第1節 安らかな良いお産とは
第2節 当クリニックの推奨する自然分娩法
第3節 その他の各種分娩法の問題点
当クリニックの分娩の体制について〜特にスタッフ体制について〜
 
 安らかな良いお産とは
 
当クリニックのお産の方針を簡単にご説明申し上げます。
安らかな良いお産とは、自然に流れを大切にして、異常の有無をしっかりと見極めるためのモニタリング(医学的管理)を責任もってしっかりとした上で、極力無用な医療処置を排除して、おかあさん(産婦)と赤ちゃん(胎児)の自然の力を引き出し、静かで穏やかで安らぎと幸福感に満ちた分娩へと誘う、いわば「究極の自然分娩」を目指す考え方です。

 自然分娩をめざす方法には、古くはいわゆる古典的ラマーズ法が有名ですが、今日では自然分娩をめざす方法論として、いくつもの表現があり妊婦さんたちも迷うほどです。例えば、ソフロロジー法、新ラマーズ法、アクティブバース、フリースタイル、リーブ法、等々。どれがどうでどんな違いがあるのかと、不思議に思う方も多いことでしょう。

 実は、それらのやり方には大きな違いはないのです。むしろ、めざす方向や理想とするお産のすがたはほぼ同じと言って良いでしょう。医師や助産婦などで自然分娩を探求するグループの中には、実際に、それぞれの利点を取り入れ合って、さらに融合した自然分娩法に統合していこうとする動きもあります。将来は、自然分娩主義とでもいうような統一された形に集約されていくであろうと予言することも可能です。

 当クリニックの自然分娩は、上記のソフロロジー法と新ラマーズ法の長所を取り入れたやり方ですので、特に「なんとか法」というような呼び方はせずに、「やすらかな良いお産」と表現することにしております。

では、具体的にはどのようなことが大切でしょうか。そのポイントをご説明いたします。

 こころのケア からだのケア 技術・知識の習得 の3つのポイントがあります。

 今妊娠していることを素直に喜べますか。おなかの赤ちゃんに感謝していますか。赤ちゃんに話し掛けていますか。ご主人と仲良くしていますか。まわりの人たちとの調和を図っていますか……。これらのことはすべて妊婦さんの情緒の安定にとってとても大切なことです。情緒が安定すると体調もよくなります。そして、安産になりやすいのです。
 妊娠初期から、赤ちゃんと共にあること、育児はすでに始まっていること、などを常に意識していきましょう。
 明るく楽しく朗らかに充実したマタニティライフを過ごしましょう。
 「運動不足にならない。太り過ぎない。」このことに尽きます。「小さく産んで大きく育てましょう。」赤ちゃんはすこし小さいくらいが一番元気もよく安産なのです。
 妊娠したからといって、大事を取って安静にするなどという必要は全くありません。無理なこと・無茶なことは勿論してはいけませんが、日常生活で、こまめに動くことがとても大切です。そして、規則正しくバランスの取れた健康的な食生活を心掛けましょう。全体のカロリーは取り過ぎないように注意しましょう。妊娠したからといって、ふたり分食べるとか、赤ちゃんの分も多めに食べようというのは、とんでもない間違いです。妊娠前の体重と比較して5kgから8kg程度の増加に抑えて出産に臨めたらそれだけで安産が期待できるといえます。くれぐれも体重を増やさないように頑張りましょう。
 といっても実は、上記のこころのケアやからだのケアに比べるとあまり重要ではありません。
しいていうならば、力を抜くこと、リラックスすることです。意外に思われた方もいらっしゃるでしょうが、上手に産むにはいかに力を入れるかではなくて、いかに力を抜くかなのです。そのための方法論として、「呼吸法」があります。従来の古典的なラマーズ法では、「ヒッヒッフー」という速い呼吸を指導しましたが、それでは却って緊張もしますし、過換気症候群という症状も出る危険があります。私どもの自然分娩は、「フーフー」とゆっくり力を抜いて息を吐く呼吸法を勧めております。このほうが、ずっと力を抜いてリラックスすることができます。
 知識については、母親教室に参加することがとても大切です。当クリニックでは、プレママサークル前期、プレママサークル中期、フーフーサークル、プレパパサークル、マタニティヨーガ教室、産後のすくすくサークル、等を開催しております。母子手帳や妊婦健診時に手渡されるプリントや各種パンフレット等もよく目を通してください。知識的にはそれで充分です。マタニティ雑誌も多種販売されていますし、いろいろな書籍もありますが、あまりあれこれかじりすぎると不安が増大するような逆効果もありますので、注意しましょう。
当クリニックが推奨する書籍は外来の待合ホールで無料貸し出しをしておりますので、どうぞご利用ください。

 「安らかな良いお産」を実現するためには、妊娠中のこころの持ち方、安産体質になるようにしっかりとしたからだ作り、母親教室への積極的な参加、また、自然分娩の考え方をしっかり理解すること、等がとても大切です。

 
 
 
 当クリニックの推奨する自然分娩法
 
 
 1) 新ラマーズ法
 
 
 近代産科学が進歩するにつれて、それまで自然な成り行きに任せていたお産が、産婦、胎児とも医療側がしっかりと守らなくてはいけないという風潮になってきたのは、ある面当然でもありますが、その反面、医療側の都合に合わせるような弊害が出てきたという側面も否めません。
 例えば、強引ともいえるような計画分娩、あるいは誘導分娩、騒ぐ産婦を寝かしつけてしまう麻酔分娩、等が広まってきました。産婦の分娩体位までも医療側の都合で決められていきました。
 本来、お産とは、次の世代に生命を伝えるための産婦自身が行う崇高な自然の行為であるはずです。しかし、産婦の意思を無視した医療側の勝手なご都合主義分娩がまかり通っていたことは深く反省しなければならないと、心ある多くの医療者は感じ始めていました。つまり、「医療側はお産を温かくかつ注意深く見守るだけでよく(しっかりとしたモニタリング)、異常が起きると予想したとき、または起きたときにすばやく手を下すのが大切で(早期発見早期適切治療)、それが自然な本当のありかたではないか。また、そのほうが、産婦の意思を無視しない、しかも、分娩そのものもかえってスムーズに終わらせることができるのではないか。」という、熱い思いが自然分娩志向としておおきなうねりになってきたのです。その流れのなかにラマーズ法があります。
ラマーズ法は、ラマーズ博士が、旧ソ連の精神予防性無痛分娩に感激してフランスに持ち帰って基本を作り、アメリカで組織化され、ついで日本に入ってきたという歴史があります。
 
 
 日本にラマーズ法が紹介されて以来、多くの分娩施設でラマーズ法が取り入れられて、一定の大きな成果が得られたことは言うまでもありません。しかし、さらに良いお産を目指そうと考えて日夜お産にかかわってきた医療者のなかには、従来のラマーズ法には若干の欠点があることに気がついてきました。それは、過呼吸の問題と、精神性の問題です。
 過呼吸とは、呼吸が速すぎてかえって苦しくなることです。「ヒッヒッ、フー」という陣痛を乗り越えるための呼吸法をあまりに早いテンポでやりすぎると過換気症候群という過呼吸の症状が出てしまうことがあります。こうなると、リラックスするどころか、かえって緊張してしまい、胎児にも悪影響があるのです。
 また、精神性については、旧ソ連の精神予防性無痛分娩は、条件反射の理論を応用しており、それなりに有効ではあるのですが、産婦の心のもち方や、産婦と胎児との心身相関等にはあまり言及していないのです。「子宮収縮=呼吸反射」という条件反射を形成することが初期のラマーズ法でしたが、それでは精神的満足感ややすらぎ感がうすく、赤ちゃんとの一体感にも乏しい嫌いがありました。
 そこで、呼吸法については、反射理論を持ち込むよりも、東洋で古くから行われている弛緩法のための呼吸法、それはゆっくりとした静かな呼吸法でなければならないと提唱する医療者が現れてきました。その先駆者は神戸の林弘平博士です。本来の弛緩法は、脳を含めた身体全体の緊張と弛緩のバランスの取れた状態へと導くもので、心の安定を求める方法です。その弛緩法をうまく行うために呼吸法があるのです。そうすることによって、さらに安らぎに満ちた静かなお産を実現することが可能になってきたのです。
 このようにして、新ラマーズ法といわれる新しい自然分娩の流れが完成されていきました。
 
 
 
 
 
 
 安らかな良いお産の達成のための基本となるのは、充実した妊産婦教育です。徹底的にプラスイメージの言葉のシャワーを他者(医療側や夫等の家族)からも自分自身からも浴びせることによって、ポジティブシンキング(積極思考)を身に付けましょう。
 「陣痛は痛くて苦しいものという古いイメージを捨て去りましょう。」「分娩は病気ではなく生理的現象であることを自分自身に言い聞かせましょう。」「陣痛は、子宮収縮という大切なエネルギーであり、痛みや苦しみとは別のものです。」「陣痛の波の中で、もうすぐ愛しいわが子に会える喜びを感じましょう。」……等々。
 具体的なトレーニング法として、弛緩法や呼吸法があります。弛緩法と呼吸法は別々のものではなく、一体のものであり、弛緩法をうまく行うための方法論として呼吸法があるのです。本来の弛緩法は、脳を含めた身体全体の緊張と弛緩のバランスの取れた状態へと導くもので、心の安定を求める方法です。その弛緩法をうまく行うために呼吸法があるのです。それは、ゆっくりとした静かな呼吸法です。従来から行われてきた、「浅くて早い呼吸法」は、過換気症候群を引き起こしかえって心身の緊張を高め、ひいては胎児にも悪影響を与える危険性がわかってきました。「肩の力を抜いてゆっくりと長めに息を吐く」という呼吸法こそ、本来の弛緩法へと導く正しい呼吸法なのです。妊産婦はこの「フーフー呼吸」のみを練習しておけば何種類もの呼吸法をマスターする必要はそれほどないのです。細かなテクニック的なことは、実際の分娩時に医療側がアドバイスしてあげればすぐに実行できることが多いのです。難しいことを言い過ぎるのは妊産婦を混乱させるだけです。
 大切なことは、妊娠、出産を肯定的に捉えて赤ちゃんを心のそこから愛し受け入れること。必要な知識をしっかりと学習すること。弛緩法、呼吸法をしっかり練習しておくこと。自分自身のお産をあるがまま受け入れて赤ちゃんとともに乗り切っていくことでしょう。このようにして、新ラマーズ法を体得した妊産婦は、陣痛の波をあるがままに受け入れて安らぎに満ちたお産を達成していくことが可能になるのです。
いわば、新ラマーズ法とは、「本当の自己を見出すお産」ということもできるでしょう。
 
 2) ソフロロジー式分娩
 
 近代産科学の進歩によって、数十年前とは比較にならないほど安全にお産ができるようになりました。しかし、医学管理を重視するあまり、こころのほうが置き去りにされる傾向があり、ここ10年から20年ほどの間により良い自然分娩をという大きなうねりが起こってきました。
 ソフロロジー式分娩は、そういった流れの中のひとつであり、こころの問題を問いかけた産前教育の方法です。いわば「こころのお産」なのです。
 ソフロロジー式分娩の元となるソフロロジー法とは1960年スペインの精神科医アルフォンソ・カイセド博士によって創案されました。分娩に応用されたのは、1976年フランスのサンミッシェル病院のジャンヌクレフ博士によってでした。
 日本のソフロロジー式分娩は、フランスのソフロロジー式分娩にその理論を借りましたが、1987年に日本に入るにあたり、その訓練様式は著しく改良されました。特に、日本人に適するように簡略化して、フランスでの3時間8回の訓練様式を3時間1回の母親学級と、あとは自宅でのイメージトレーニングによる産前教育によって、フランスでの達成度をはるかにしのぐソフロロジー式分娩産前教育を完成させることに成功しました。これは、熊本の松永昭博士の功績です。
 ソフロロジー法は、禅、ヨーガ等、東洋的訓練手技が用いられ、特に効果が期待されるイメージトレーニング法も使用します。元々、日本人に適していたといえます。さらに、松永博士は、フランスではなかった音楽療法をこのイメージトレーニングに併用し、1987年には、ソフロロジー式分娩のためのテルプノスロゴス(誘導の言葉)を作り、イメージトレーニングのためのBGMを作曲しました。このBGMにテルプノスロゴスをかぶせることにより、ソフロロジー式分娩のためのイメージトレーニングが容易になりました。
 産前教育の中核となるものは母親学級であり、母親にソフロロジー法の理論説明すなわちソフロロジーのこころを伝えます。まず、心身一如の理解、すなわち、わたしたちのからだは、すべて心によって支えられ、またこころはからだによって変わるものだということを理解するように説きます。
 また、ソフロロジー式分娩産前教育の基礎は、妊娠と同時におなかの赤ちゃんをソフロ受容することです。ソフロ受容とは、すべてを赤ちゃんのために受け入れ、そのことに喜びを見出すことです。すなわち、妊娠と同時に母児がひとつとなり、妊娠中の生活をすべて赤ちゃん中心にすることです。
 ソフロロジー式分娩産前教育のキーワードは母性の醸成であり、潜在意識に隠れている母性を解き放ち、育み生長させていくことです。母性とは、子どもをいとおしい、かわいいと思う心に始まり、その心に従って、子どもに対して自分を犠牲にしてでも守り育てようとする性質です。よく母性は本能だと言われますが、ただ単に子どもを産んだというだけで直ちに触発されるものではなく、母性を醸成するための積極的な働きかけがあって、それに反応する形で現れてくるものであり、心理的要因の比重が大きいものです。
 上述したような産前教育により産婦さんのほとんどが、生まれて初めて経験するという陣痛をおなかの赤ちゃんを生み出す上において、もっとも大切なエネルギーとして受け取り、分娩痛を赤ちゃんに会える喜びに切り換えるイメージトレーニングによって、痛みを自分で耐え得るレベルにまで引き下げることに成功しています。したがって、客観的にはその分娩風景はいかにも痛みを感じていないかのようにみえます。
 ソフロロジー式分娩のイメージトレーニングによって、赤ちゃんをいとおしいと思う心を高めることにより、自分の思いで自分の頭の中にエンケファリン、βエンドルフィン等の脳内物質を作り出すことができます。これは、痛みを和らげる効果があります。その結果、大半の産婦さんは子宮口がかなり開くまで陣痛を痛みとしては受け取らなくなるのです。
この陣痛を冷静に乗り越えた出産体験はその後の人生においても困難に遭遇したときに生かされることでしょう。
 ソフロロジー式分娩は、フランスに始まり日本に入り著しく改良され、イメージトレーニングを加えることによりその達成度は一段と飛躍しました。さらに、日本から諸外国へ広まりつつあります。
 ソフロロジー式分娩は、東洋的訓練手技やイメージトレーニングの手法を使った産前教育を用い、陣痛を乗り切り静かな出産に至る心身一如の赤ちゃん中心の自律分娩であり、その後の人生にも建設的な影響を及ぼす出産法です。
 
心重視してトレーニング 平成14年12月6日 新潟日報搭載
 
 その他の各種分娩法の問題点
 
 1) 自宅分娩は危険です!
 
 一部のテレビ番組や雑誌などで、いわゆる「自宅分娩」がとても良いかのように取り上げられていることがありますが、下記の資料を見てもわかりますように、とても危険です。なぜなら、赤ちゃんの死亡率がクリニック等の分娩施設で産むより約9倍も高いのです。おかあさん(母体)の死亡率は施設分娩の約10倍になります。
 また、自宅分娩するつもりでいても、妊娠中や分娩中などに何らかの異常が出て、病院へ搬送されることも多く、結果的には自宅分娩を希望した妊婦さん全体のうち半分以下しか自宅分娩できていないという統計もあります。
くれぐれも、かたよった意見にまどわされないように注意しましょう。
 
資料
  施設分娩全国平均 自宅分娩の場合
周産期死亡率 5/出産1000 44/出産1000
妊産婦死亡率 7/出産10万 73/出産10万
  1997厚生労働省 研究班発表
日本医事新報 第4078号p107 2002年(平成14年)6月22日
 
 2) 水中出産は安全か?
 
 
 一部の施設で流行のように行われている、いわゆる「水中出産」は、欧米では陣痛の痛みを軽減して、リラックスするために使われる手段であり、水中で産みことが目的とされることはありません。
 まだ、その安全性や母子に及ぼす影響についての研究は足りないとされています。WHOは推奨できないとしています。
 よって、十分な確証がないため、当クリニックでは、お勧めしておりません。
 
 
 3) 麻酔を用いた無痛分娩について
 
 硬膜外麻酔を用いての無痛分娩が、一部の分娩施設で行われております。
 当クリニックでは行っておりませんので、その理由をご説明します。
 硬膜外麻酔を用いた無痛分娩の実際のやりかたは、以下のようです。
まず、規則的な陣痛が始まってある程度子宮口が開き始めた段階で、硬膜外麻酔という下半身麻酔を腰から注射します。そこから後は、全く歩けませんし、思うように動けません。
血圧低下や胎児心音がおとなしくなることもあります。麻酔の効きすぎに注意が必要ですし、逆に麻酔の効き目が悪くて痛みが消えないということもあります。陣痛が自覚できないので、強すぎても気がつかないという危険性もあります。よって、分娩監視装置(赤ちゃんの心音の検査)をつけっぱなしという状態が多いようです。陣痛自体が弱くなることもよくありますので、陣痛促進剤の点滴をします。また、生まれてくるときもなかなか自力で生まれず吸引分娩になることが大半です。
 以上のように、陣痛の痛みがわからなくなるということは、確かにメリットかもしれませんが、当クリニックが推奨している「究極の自然分娩〜安らかな良いお産」と比較すると、「究極の人工分娩」というやりかたです。
 もし、興味があった方は、以上のようなことを十分にご承知の上、よく考えてご判断ください。
 
当クリニックの分娩の体制について
〜特にスタッフ体制について〜
 
 
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