妊婦健診で、「旅行に行ってもよいですか。としばしば質問されます。その場合の答え方として2通りあります。ひとつは、旅行で具合が悪くなる確立をお話しすることです。この場合、よほど無理な日程があれば別ですが、旅行や移動中に具合が悪くなる確立は実際のところ、妊娠していない時よりも若干高い程度なのです。(ですから、無事に帰ってこれるかというかけをするとしたら、大丈夫というほうにかければたいていは勝ちます。)しかし、問題はもし実際に具合が悪くなったらどんなにたいへんかということなのです。従いまして、もうひとつの答えかたとしては、旅行先でもし具合が悪くなったら、たいへんですよという側面から説明する事です。
実例があります。ハワイへ行った妊婦さんが不幸にも現地で早産してしまい、未熟児が生まれました。ご本人はすぐに退院できましたが、未熟児の赤ちゃんは1ヶ月も入院しました。退院時の請求書を見てびっくり!!!約1,500万円もかかりました。もうひとつ、ある山間の温泉旅館に泊まったのですが、夜中に出血して地元の病院に連絡したら産婦人科はないとのこと。一番近いところでも1時間以上もかかると言われたうえ電話したら産婦人科医は不在で診察できないと。しかたなく深夜に4時間もかけて三条に舞い戻り診てもらえて間一髪だったという話。このようなことが、時にあるのです。休日や夜間ですと、かかりつけでなければ診察に応じてくれないという病院のほうが一般的なのです。ですから、妊娠中に旅行するのはやめといたほうが無難だという結論になります。もし、気分転換を目的にするのでしたら、1〜2時間程度で戻れる範囲からお考えになるのが賢明でしょう。妊娠中に挙式・披露宴・新婚旅行というかたもいらっしゃいますが、特に異常がなければ地元で挙式・披露宴をするのは問題ありません。しかし、新婚旅行となると話は別です。できれば、お産後に改めてご褒美として旅行に行くほうが何かと安心だと思います。 |