産むかどうかで悩んでいるあなたへ

 「おめでたです。良かったですね。」と、お話してもうれしそうでない方がいらっしゃいます。産むかどうかで悩んでいるのでしょう。それは、診察室に入っていらしたときの雰囲気で、実はすぐにわかるものです。
 私は、産婦人科医になってからの20数年間、勤務医時代も開業してからも、できるだけ産んでいただきたいという基本的方針で、説得に努めてまいりました。医学的側面からの中絶の危険性、法律(刑法、母体保護法、等)からみた考え方、母子保健に関する社会福祉制度の体制、さらには生命倫理・哲学・宗教からみた命の重みといったことまで、手を変え品を変え、その方の心の琴線に触れて考え直してくれるきっかけは何かないかと、いろいろとお話してみます。多忙な外来中に、ほかの多くの外来患者さんが待っているのは承知でも、人ひとりの命がかかっているのですから、お話せざるを得ません。
 今まで、さまざまな方がいらっしゃいました。説得を拒絶して「逆切れ」する方も少なくありません。「考えてみます」と言ったきり、再来しない方もかなりいらっしゃいます。そういった中で、次回の再来時に明るい表情で「産みます!」という言葉を耳にした時は、「あなたは偉い!」と思わず言ってしまいます。
 悩んだ末に頑張って産んだ方のほぼ全員が、産後の1ヶ月健診でわが子を抱きながら、「産んでよかったぁ!」とおっしゃいます。またその後、赤ちゃんの写真入りの年賀状をいただいたりすることもよくあります。
 悩んでいるあなた ぜひ 考え直してみてください!
 そして、相手の男性、それぞれのご両親、きちんとした方に相談してください。
  だれにも相談できないという方に下記の無料電話相談をご紹介します。

「妊娠中絶を思い悩む母親支援」を活動目的としたNPOです。
「NPO法人 円ブリオ基金センター」
無料相談 フリーダイヤル 0120−70−8852 平日午前10時〜午後5時

理事長の遠藤順子さんは、「沈黙」「深い河」で知られ、狐狸庵先生のニックネームで親しまれた作家、故・遠藤周作氏の奥さんです。


平成18年2月7日(記)


<この一文を読んでくださった一般の皆様へ>
 皆様の周囲で予期せぬ妊娠で思い悩んでいる方がいらしたら、是非相談に乗ってあげてください。ご本人は、とても苦しんでいます。おひとりでは、荷が重いと思われる方も多いでしょうから、そういう場合は是非上記のフリーダイヤルを教えてあげてください。
 よろしくお願い申し上げます。
 ちなみに、ドイツでは、国が決めた中絶相談員に助言を受けて、その証明書をもらわないと中絶できません。その結果、相談した人の6分の1が、中絶を回避し産んでいます。これを、日本に当てはめると、昨年(2005年)全国で約30万件の中絶があったと推計されますが、6分の1の5万人は生まれていたとすると、昨年の日本の人口減少はなかったことになります。

お願い:上記のNPO活動にご賛同の方は、ぜひ寄付金をご検討ください。
郵便口座 00150−9−415477
特定非営利活動法人 円ブリオ基金センター
(一口 1円から受け付けています)